事業報告事業番号:19-047 チンパンジーにおける互恵的利他行動と他者理解の比較認知科学的検討 報告者:山本 真也 期間:2007/08/14 - 2007/08/30 国際動物行動学会では、ヒトやチンパンジーをはじめとする霊長類の研究者だけでなく、鳥類や鯨類、その他多種多様な動物種を対象とした研究が発表される。博士後期課程に在籍中である派遣研究者にとって、このような場で自らの研究発表をおこない最新の研究動向を知ることは、視野を広げるために必要なことであり、今後の研究活動に非常に有益であった。また、幅広い視野を得るためには、ハーバード大学は格好の訪問先であった。複数の研究室を訪問することによって、派遣研究者の研究テーマである「互恵的利他行動」について、発達心理学・理論生物学・実験社会科学等、さまざまな視点から見ることができた。少数の若手研究者と密に議論することで、ひとつのテーマをより深く理解することに役立った。 8月14日から23日まで、カナダ・ハリファックスでおこなわれた第30回国際動物行動学会大会に参加した。18日には口頭にて研究発表(「相互利他的協力場面においてチンパンジーは自発的に役割交代をするか?:協力への誘いかけとただ乗りへの罰」)をおこなった。霊長類研究者をはじめ、鳥類や鯨類などの研究者たちとも最新研究の情報交換等をおこなった。その後、カナダ・モントリオールにて動植物園(バイオドーム、モントリオール植物園)の見学・情報収集をおこなったあと、アメリカ合衆国・ボストンを訪れた。ボストンでは、ハーバード大学のスーザン・ケアリー研究室、マーチン・ノワック研究室を訪問した。いずれも博士課程の学生に対応していただいた。スーザン・ケアリー研究室では、ヒト幼児を対象とした認知実験研究の最新情報を収集するとともに、チンパンジー研究とヒト幼児研究にかんする意見交換をおこなった。マーチン・ノワック研究室では、主に互恵的利他行動にかんする理論研究と、ヒトを対象とした実験研究の最新情報を収集するとともに、チンパンジー研究との接点、今後の展望などについて意見交換をおこなった。
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