事業報告

事業番号:19-042

コンゴ民主共和国赤道州ワンバ地区における住民の森林利用に関する研究

報告者:木村 大治

期間:2007/11/03 - 2007/12/12

コンゴ民主共和国赤道州ワンバ地区においては,1970年代から日本人研究者によるボノボの研究がはじまり,引き続いて地域住民の人類学的な調査がおこなわれてきた。申請者は1980年代にワンバ地区おいて生態人類学的調査をおこなってきた。その後,コンゴ内戦による中断ののち,2005年より調査を再開している。現在,熱帯林の動植物相の保護と,地域住民の生活の保全をどのようにすり合わせていくかが大きな問題となっている。この地域での30年以上にわたる資料の蓄積のもとに,住民による森林利用の変化を明らかすることによって,今後のボノボを含む自然保護計画の推進に必要なデータを蓄積していくことを目的として調査をおこなっている。

今回のは,以下のような調査をおこなった。
・森林産物(獣肉,食用植物,樹木など)がどのように村人たちに利用されているかを量的に明らかにするため,2006年1月より20人のインフォーマントに依頼して,自宅に持ち帰った食物その他についての記録を取ってもらっている。このノートを回収し日本に持ち帰った。今後,前回回収した2006年のデータとあわせて分析をおこなっていく。

・焼畑農耕による森林伐開の状況を明らかにするため,調査村落周辺の畑をGPSを用いて計測した。このデータと,過去の航空写真,ランドサット衛星画像などを比較することによって,森林利用の実態を明らかにしていく。

・この地域は内戦による交通運輸体系の崩壊によって,商品作物であるコーヒーが生産できない状況にある。住民たちは,数百キロ離れた大都市キサンガニ近郊まで徒歩で獣肉等を売りに行き,現金や商品を手に入れている。この状況についてくわしい聞き取りをおこなった。

・前回の調査で,タンパク質が不足している村落では,ティラピア養殖,ブタなど小家畜の集団飼養が試みられているとの情報を得た。この実態を明らかにするため,その現場に赴いて実態調査をおこない,多くの事例を観察することができた。


ティラピア


ティラピア養殖池


ブタ飼養1


ブタ飼養2


完成した調査小屋


焼畑の様子

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