事業報告

事業番号:19-038

ヒト、チンパンジー、ニホンザルにおける絵画的奥行き知覚:選好リーチング課題を用いて

報告者:伊村 知子

期間:2007/05/07 - 2007/05/18

昨年度、日本学術振興会先端研究拠点事業(以下、HOPE)の助成を受けてミネソタ大学のアルバート・ヨナス教授を訪問し、チンパンジーを対象とした絵画的奥行知覚に関する共同研究を開始した。ヨナス教授がヒトの乳幼児を対象に開発した方法をチンパンジーに応用するためには問題点があり、共同研究を推進する上で直接の意見交換が必要であった。そこで、本年度はヨナス教授のもとで研究の進捗状況について報告するとともに、今後の研究方針について話し合った。その後、ミネソタからサラソタへと移動し、国際視覚学会に参加した。京都大学霊長類研究所の共同利用研究の成果の一部に関してポスター発表をおこなった。

5月7日から11日まで、ミネソタ大学のヨナス教授を訪問した。チンパンジーを対象にリーチング反応を指標とした奥行弁別課題を実施するために、研究の進捗状況について報告するとともに、今後の方針について話し合った。今回は特に、装置や訓練方法について議論した。たとえば、単眼視、両眼視条件で刺激を観察させるための装置の工夫や、訓練試行で用いる刺激について意見を交換した。それに加えて、ヨナス教授がヒトの乳児を対象におこなっている線遠近法に関する研究についても議論した。結果の解釈について意見を交換するとともに、次の実験で用いる刺激を作成した。今回の議論を通して、ヒトの乳児を対象とした実験についても共同研究をおこなうことになった。

5月11日から18日まで、サラソタのホテルハイアットにて開催された国際視覚学会に参加した。12日の午後にはポスター発表をおこない、京都大学霊長類研究所の18年度共同利用研究として実施した「チンパンジーとヒトにおけるテクスチャ勾配で定義された面の視覚探索」に関してポスター発表をおこなった。


国際視覚学会ポスター会場の様子


ミネソタ大学幼児発達研究所

HOPE Project<>