事業報告

事業番号:19-037

中期中新世アフリカ産ホミノイドの周辺哺乳類相についての研究

報告者:辻川 寛

期間:2007/10/31 - 2007/11/29

私の研究は、ケニア北部ナチョラ地域産の中期中新世大型類人猿ナチョラピテクス・ケリオイの周りに当時どのような哺乳類が生息していたのか、そして、どのような環境だったのかということを明らかにすることを目的としている。
今回の派遣先の研究では,ナチョラから収集されていた膨大な数の哺乳類化石の中から、マメジカ類(偶蹄目反芻亜目)とイノシシ類(偶蹄目猪豚亜目)を選び、記載論文作成のためのデータ収集を行う。
ケニア国立博物館には,ナチョラ地域から採集された哺乳類化石だけでなく,比較に必要なケニア国内の資料が,また,フランス自然史博物館には,ナチョラの哺乳類と同時代のユーラシア産の哺乳類化石がそれぞれ大量に所蔵されており、渡航先での研究が必要である。

ケニア国立博物館では、ナチョラから採集されたイノシシ類・マメジカ類化石の記載論文作成のためのデータ収集を行った。また、これらの標本とケニア国内から産出した前〜中期中新世の哺乳類資料との比較も行った。当時のナチョラには少なくとも、イノシシ類が3種(Kenyasus namaquensisMegalochoerus khinzikebirusKenyasus rusingensis)、マメジカ類が2種(Dorcatherium chappuisiD. pigotti)が生息していたことが分かった。
フランス自然史博物館では、ナチョラ産哺乳類との比較のために同博物館所蔵の中新世ユーラシア産の哺乳類化石のデータ収集を行い、現在南アフリカにて哺乳類化石の発掘を行っているマーチン・ピックフォード博士と東アフリカと南アフリカの動物相や環境についての意見交換を行った。


改装中のケニア国立博物館ギャラリー(2007年12月リニューアル・オープン予定)


フランス国立自然史博物館古生物学部門研究棟

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