事業報告

事業番号:19-036

国際語用論学会大会での研究発表および乳幼児研究室訪問

報告者:三浦 優生

期間:2007/07/09 - 2007/07/20

国際語用論学会は、言語学の中でも語用論の分野に特化したテーマを中心に研究発表が行われる大規模な学会である。申請者は、ヒトの語用論能力に欠かすことのできない他者心理の理解をテーマとし、幼児を対象に心理学的手法を用いてその発達過程の検討を行ってきた。本研究大会では、語用論能力を理論的な枠組みにおいて論じる研究者と、実証的アプローチを試みる研究者との交流が可能な場であり、申請者が自身の研究発表を行い、また最新の理論や研究方法に触れることには、今後の研究において非常に有意義であると考えた。またウプサラ大学乳児研究室は、現在申請者が研究手法として用いている視線検出器Tobii eye trackerを乳児に対し用いた研究を、既に数多く発表している数少ない研究チームである。申請者は、当装置を用いた実験手法に触れ、またその他さまざまな新しい研究に触れ研究者との対話を行うことで、新しい知見を得たいと考えた。

申請者は、スウェーデン、ヨーデボリ大学にて開催された国際語用論学会第10回大会に参加した。本大会は、語用論という、言語学の中で更に特化した領域において、理論的な枠組みでの議論から言語教育などの応用言語学的アプローチにまで多岐に及ぶ研究発表を目にすることが出来る、唯一の国際的な集会である。本年はLanguage data, corpora, and computational pragmaticsという議題が中心とされていたため、研究発表には発話データを元に量的・質的分析を行った研究が数多く見られた。申請者は言語・非言語的なてがかりをもとにした幼児の他者心理の理解の発達についてポスター発表を行い、 他の研究者とのディスカッションを通して、次の研究へと結びつく新たな課題やアイデアを得ることが出来た。また後半に訪れたウプサラ大学は北欧で最も古い歴史を持つ大学であり、当大学心理学部の乳児研究室では、乳幼児を対象とした心理実験を数多く行っている。申請者は研究室を訪問・見学し、所属研究者・大学院生がテーマとしている、乳児がもの形を認識し操作する能力、動くものを目で捉え、つかむ能力、遮蔽された動きの認知、社会的参照の能力などをテーマにした、様々な実験装置や使用方法を目にすることが出来た。


ヨーデボリ大学


ポスターセッション


ウプサラ大学乳児研究室の様子


ウプサラ大学乳児研究室の様子

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