事業報告

事業番号:19-033

フサオマキザルの道具使用に見られる因果関係の理解

報告者:藤田 和生

期間:2007/08/14 - 2007/08/24

平成19年8月15日〜22日にカナダ国Halifax市において開催される第30回国際動物行動学会(IEC)において、平成18年度に受けた助成に基づく研究の成果発表をおこなうとともに、関連研究者との討議、及び共同研究者(Dr. Eduardo B. Ottoni, University of São Paulo, Brazil)との研究連絡をおこなう。

8月20日に「Substrate choice in nut-cracking behavior of semi-wild tufted capuchin monkeys (Cebus apella) 」と題したポスター発表を、堤清香、森本陽(以上京都大学)、C. G. Coelho, T. Falótico, E. B. Ottoni (University of São Paulo)と共同でおこなった。多くの訪問者があり、注目を浴びた。また、共同研究者のOttoni博士とは、今後の研究計画について話し合った。発表要旨邦訳は以下の通り。

 ブラジル国サンパウロのチエテ生態公園の半野生フサオマキザルは、堅い台石の上にSyagrus属の小さなヤシの実を置いてハンマー石で叩き割ることが知られている。我々は、このサルたちがうまく実を割るために必要な台石の条件を知っているかどうかはテストした。具体的には、セメントブロックでできた堅い台石と柔らかいゴムでできた台石の2つの人工台石を、サルが普段この行動に使う開けた場所に平行に並べた。彼らが普段から使う自然なハンマー石と何十個ものヤシの実をその間に置いた。実験はサルがくるのを待っておこなった。観察期間中に、4頭のオスと7頭のメスが実験場所でヤシの実割りを試みた。程度の差はあるものの、どの個体も上手にヤシの実割りをする個体だった。この新しい台石の上でおこなった最初の試行から、すべての個体は堅い台石を選んだ。サルは台石の堅さがうまく割るために重要な条件の1つであることを認識しているように思われる。


発表したポスター(クリックすると拡大します) 

PDFファイル120KB


大会メイン会場となったDalhousie大学のMcCain Hall

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