事業報告

事業番号:19-028

東アフリカにおける中新世霊長類の進化と多様性に関する研究

報告者:國松 豊

期間:2007/07/21 - 2007/10/01

ヒト上科とオナガザル上科の初期進化はアフリカで起きたと考えられているが、現在のところ、アフリカ大陸で見つかっている霊長類化石の分布には大きな偏りがあり、中新世のヒト上科・オナガザル上科の化石は、その大部分が東アフリカとりわけケニヤ共和国から発見されている。独立達成以降、ケニヤでは化石の国外持ち出しは原則として禁止されており、ケニヤ国内の野外調査によって採集された化石はナイロビにあるケニヤ国立博物館に収蔵される事となっている。したがって、アフリカにおける中新世のヒト上科・オナガザル上科の進化と多様性を研究するには、ケニヤでの野外調査や国立博物館の化石コレクションを調べる事が必須である。

派遣期間の前半においては、ケニヤ北中部のナカリ地域において行われている野外化石発掘調査に参加した。ナカリ地域は、後期中新世初頭の化石を産出するサイトであって、ここ数年のケニヤ・日本合同調査隊の活動によってヒト上科を含む霊長類化石やその他の哺乳類化石が発見されてきた。今季の野外調査においても、霊長類を始めとして多くの脊椎動物化石が採集された。派遣期間後半は、ナイロビのケニヤ国立博物館において、ナカリ地域で今季の野外調査によって採集された脊椎動物化石標本を整理するとともに、ケニヤ国内からこれまでに採集され、同博物館に保管されている中新世のヒト上科及びオナガザル上科の化石標本の調査を実施した。また、ケニヤ国立博物館のエマ・ムブア博士や他のスタッフと、博物館における化石標本の保管維持、設備の現状などに関して情報交換を行った。


ナカリ地域の景観:ロコンタルック山を望む。


ケニヤ国立博物館研究棟


ケニヤ国立博物館の研究棟には時々ブルーモンキーも訪れる。

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