事業報告事業番号:19-025 エチオピア・コンソ遺跡出土有蹄類化石を用いた古生態学的研究のための比較現生種調査 報告者:尾崎 麦野 期間:2007/06/09 - 2007/06/23 人類の起源および進化を研究する上で、当時の生息環境や、初期人類を含む哺乳動物相のコミュニティー構造といった古生態学的背景を明らかにすることが重要である。本研究では人類化石と共に出土した有蹄類化石を対象に、大臼歯咬合面の微細咬耗をSEMで観察することでその古食性を復元し、環境変化に伴う採食生態や環境利用の変化について推察することを目指している。そのためには化石の調査に先立ち現生種を対象とした基礎データの収集が必要となるが、アフリカ産有蹄類の現生種標本は国内では数が限られている。したがって、哺乳類骨格標本コレクションの充実しているアメリカ自然史博物館で、比較現生種の観察ならびにSEM観察用の試料作成を行う必要があった。 上記博物館に収蔵されているアフリカ産有蹄類各種について、微細咬耗観察のための高精度歯科用印象材を用いた大臼歯咬合面の印象作成、ならびに大臼歯咬頭の観察とmesowear analysisのデータ収集を行った。典型的な採食生態を示す種について観察を行うこととし、ウシ科についてはAlcelaphini族より3種(Alcelaphus buselaphus, Connochaetes gnou, C. taurinus)、 Antilophini族より2種(Gazella thomsonii, Litocranius walleri)、 Reduncini族より1種(Kobus ellipsiprymnus)、 Tragelaphini族より4種(Taurotragus oryx, Tragelaphus imberbis, T. spekeii, T. strepsiceros)を観察対象とした。またキリン(Giraffa camelopardalis)、オカピ(Okapia johnstoni)、サバンナシマウマ(Equus burchellii)についても観察、試料作成を行った。合計13種、約230標本について、上顎・下顎大臼歯のSEM観察用試料を作成することができた。
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