事業報告事業番号:19-022 東南アジア熱帯の哺乳類散布型果実における霊長類の種子散布者としての役割の解明 報告者:中島 啓裕 期間:2007/07/10 - 2008/03/27 熱帯雨林において、霊長類は、非常に重要な生態的な役割を果たしていると考えられる。特に、一部の果実は、霊長類をはじめとする哺乳類による散布を促進する特性を持っている。このことは、長い進化スパンの中で、霊長類が種子散布者として機能し、樹木の更新に不可欠な役割を果たしてきたことを強く示唆する。霊長類を生態的、進化的に正しく理解するためには、彼らがどのように生息環境を利用しているのか、そして、そのことが生息環境を構成する樹木の更新にどのような影響を結果として与えてきたのかについて、総合的に明らかにする必要があると考えられる。 調査研究活動を円滑に行うためには、現地受け入れ研究者との緊密な連絡が不可欠である。そこで、上記の調査目的、方法、内容について、サバ州野生生物局の受け入れ研究者とさらに詳細な打ち合わせを行った。上記を終えた上で、マレーシア・サバ州・タビン野生動物保護区において、上記の課題「東南アジア熱帯の哺乳類散布型果実における霊長類の種子散布者としての役割の解明」を行うための調査活動を行った。霊長類と深い関係を持つと予測される植物ランブータン(Nephelium sp.)をモデル植物として、果実を利用する動物や種子散布者の特定、散布先による種子の生存率の違いなどについてデータを取得した。これらを通じて、霊長類が、本種の散布過程において果たしている相対的重要性を定量的に評価した。調査は大きなトラブルなく順調に進行し、当初の計画通り、研究を遂行することが出来た。また、調査結果の共有を図る目的で、野生動物の保護、管理を行っているマレーシア国サバ州野生生物局で、プレゼンテーションを行った。
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