事業報告

事業番号:19-022-2

東南アジア熱帯の哺乳類散布型果実における霊長類の種子散布者としての役割の解明

報告者:中島 啓裕

期間:2007/05/14 - 2007/06/14

熱帯雨林において、霊長類は、非常に重要な生態的な役割を果たしていると考えられる。特に、一部の果実は、霊長類をはじめとする哺乳類による散布を促進する特性を持っている。このことは、長い進化スパンの中で、霊長類が種子散布者として機能し、樹木の更新に不可欠な役割を果たしてきたことを強く示唆する。霊長類を生態的、進化的に正しく理解するためには、彼らがどのように生息環境を利用しているのか、そして、そのことが生息環境を構成する樹木の更新にどのような影響を結果として与えてきたのかについて、総合的に明らかにする必要があると考えられる。
申請者は、これまで十分な研究が行われていない東南アジア熱帯において霊長類の種子散布者としての機能の解明を目指している。今回の滞在では、そのために必要な調査許可の取得と予備調査をマレーシア国サバ州タビン野生動物保護区で行った。

まず、マレーシア連邦政府経済企画庁(EPU)にて、調査許可を取得した。その後、UPEN(サバ州経済企画庁)、野生生物局、移民局をそれぞれ訪問、調査に必要なビザの取得を行った。野生生物局では、現地受け入れ機関との緊密な連絡を行うために、プレゼンテーションを行い、上記の調査目的、方法、内容について、サバ州野生生物局の受け入れ研究者とさらに詳細な打ち合わせを行った。その後、タビン野生動物保護区を訪問した。予備調査として、研究対象予定種Nephelium lappaceum(ランブータン)の成木の位置の特定、生活環境の確認、現地調査アシスタントの選定などを行った。タビン野生動物保護区は、サバ州内の自然保護区の中でも動物の密度が特に高いことで知られるが、今回の予備調査中にも様々な動物を観察することが出来た(写真)。予備調査は大きなトラブルなく順調に進行し、当初の計画を遂行できた。


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