事業報告

事業番号:19-018

タイにおける哺乳類化石を伴う中新世堆積盆地の堆積環境と古気候の復元

報告者:福地 亮

期間:2007/06/26 - 2007/07/12

 主たる訪問先であるチェンマイ大学と共同研究を行っており、チェンマイ大学大学院生らと共に以下の4地点で野外調査を行うため。本研究はタイ北部に点在する中新世堆積盆地(メソイ、ソプメタン、チェンムアン、ポン)の野外調査を目的としている。メソイ地域はチェンマイから南南西へ約60kmに位置し、ソプメタン地域はチェンマイから南南東へ約130km、チェンムアンはチェンマイから東へ約150km、そして、ポン地域はチェンマイから東北東へ約140kmに位置する。このうち、チェンムアンでは褐炭を採掘するチェンムアン炭坑が開設されており、同炭坑での地質調査の許可を得るために同炭坑の技術者を訪問する必要があった。

メソイ地域で7日間地質調査を行い、陸成中新統の鉛直・水平方向の岩相変化を観察した。層厚130mの陸成中新統の柱状図を作製した。ソプメタン地域では4日間地質調査を行い、陸成中新統の鉛直・水平方向の岩相変化を観察した。層厚40mの陸成中新統の柱状図を作製した。また、同地域からは、コイ科魚類、ギギ科魚類、ワニ化石の他に、サイおよび偶蹄類の哺乳類化石を採取し、作製した柱状図にその産出層準をプロットした。チェンムアン炭坑では1日間化石採取を行い、ヒレナマズ科魚類、タイワンドジョウ科魚類、ヘビ化石およびイノシシ化石を採取した。ポン地域では、ポン市街地から北へ5kmほどいった丘陵地Huai Siewから偶蹄類の化石を採取した。


チェンムアン炭坑から産出したヘビ化石の産状。


メソイ地域の露頭写真。礫質な流路充填堆積物で、泥の偽礫が認められる


ソプメタン地域。ナマズ(ギギ科)化石の産状

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