事業報告事業番号:19-011 原生林に高い密度で生息する野生ボルネオ・オランウータンの生態と社会に関する調査 報告者:久世 濃子 期間:2007/07/24 - 2007/09/24 従来、オランウータンは果実生産量が高い場所では生息密度が高くなり、集団を形成する傾向が強まる、と言われてきた。しかし申請者の調査地であるボルネオ島北部の原生林では、果実生産量は他の調査地に比べて低調だが、生息密度が高いことが明らかになりつつある。このような環境におけるオランウータンの社会行動を調べ、オランウータンの社会性を規定する要因を明らかにするため、ダナムバレー森林保護区での調査を行った。本年度の調査では、今での調査からわかってきた個体間の社会関係をさらに明らかにすることが目的である。 まず今回はサバ州経済企画庁で受入研究者の同席のもと、今までの研究成果を報告し、調査許可更新の許可を得た後、首都クアラループールで新しい許可書の交付を受け、コタキナバルにて調査査証の更新手続きを行った。2007年8月−9月に行った調査では、計7頭 (Flanged Male: 1 頭、Unflanged Male: 1頭、Mother: 2頭、Baby:1頭、Adolescent Male: 1頭、Adolescent Female: 1頭)を追跡し、合計74時間20分(10日間)の観察記録を得た。ロンガンなどの果実がまだ残っているにも関わらず、8月後半からはオランウータンの発見が難しくなったが、発見すると2個体が連れ立っている場合が多かった。特に推定4歳のコドモが2歳のコドモ(母親が違う)と頻繁に遊び、自分の母親から離れてこの母子に追随するのが度々観察された。
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