事業報告事業番号:19-011-3 原生林に高い密度で生息する野生ボルネオ・オランウータンの生態と社会に関する調査 報告者:久世 濃子 期間:2008/02/14 - 2007/03/07 従来、オランウータンは果実生産量が高い場所では生息密度が高くなり、集団を形成する傾向が強まる、と言われてきた。しかし申請者の調査地であるボルネオ島北部の原生林では、果実生産量は他の調査地に比べて低調だが、生息密度が高いことが明らかになりつつある。このような環境におけるオランウータンの社会行動を調べ、オランウータンの社会性を規定する要因を明らかにするため、ダナムバレー森林保護区での調査を行った。本年度の調査では、今での調査からわかってきた個体間の社会関係をさらに明らかにすることが目的である。 今回の調査では、まず毎月月末に行っている果実生産量を調べる落下果実センサスと、オランウータンの生息密度を調べるネスト・センサスを5日間行った。その後、オランウータンの探索および追跡を行った。研究者が調査地に不在だった期間も調査助手が追跡を続けていたので、2008年1月〜2月には計8頭(Flanged Male: 1頭、Unflanged Male: 2頭、Mother: 2頭、Infant: 1頭、Adolescent Male: 1頭、Adolescent Female: 1頭)について合計119時間(14日間)の観察記録を得ることができた。さらに調査地内で新しく切り開かれたトレイルを踏査し、調査地の地図の更新作業を行った。また地元のネイチャーガイドが調査地内で、オランウータン(おそらくFlanged Male)の頭骨を発見したので写真を撮影した。発見時にはすでに白骨化しており、また体の他の部位は発見されなかった。またサバ大学熱帯生物保全研究所のBernard博士を訪問し、研究所内に新しく開設されたPrimate Research Centerを見学した。
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