事業報告

事業番号:19-011-2

原生林に高い密度で生息する野生ボルネオ・オランウータンの生態と社会に関する調査

報告者:久世 濃子

期間:2007/11/05 - 2007/12/24

従来、オランウータンは果実生産量が高い場所では生息密度が高くなり、集団を形成する傾向が強まる、と言われてきた。しかし申請者の調査地であるボルネオ島北部の原生林では、果実生産量は他の調査地に比べて低調だが、生息密度が高いことが明らかになりつつある。このような環境におけるオランウータンの社会行動を調べ、オランウータンの社会性を規定する要因を明らかにするため、ダナムバレー森林保護区での調査を行った。本年度の調査では、今での調査からわかってきた個体間の社会関係をさらに明らかにすることが目的である。

まず受入研究者であるサバ大学のヘンリー・バーナード博士がテングザルの野外調査を行っているサバ州クリアス川を見学し、今後の研究計画について意見を交換した。また現地にて、サバ州野生生物局とWWFマレーシアが主催するワークショップ「Borneo Species Workshop」への参加を求められ、講演を行った。本ワークショップはサバ州で、オランウータンを含む大型哺乳類を調査しているマレーシア国内外の研究者がほぼ全員招待されており、有意義な議論を交わすことができた。
2007年11月−12月に行った調査では、計10頭 (Flanged Male: 2 頭、Mother: 3頭、Baby:2頭、Adolescent Male: 1頭、Adolescent Female: 2頭)を追跡し、合計160時間21分(22日間)の観察記録を得た。今回、新たに3頭(Mother: 1頭、Juvenile Female: 2頭)を識別し、識別個体数の合計が33頭に増加した。


11月に追跡した母子


新しく識別されたコドモのメス

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