事業報告

事業番号:19-006

ウガンダ産化石類人猿の運動適応

報告者:中務 真人

期間:2009/01/13 - 2009/02/09

中新世のアフリカ化石類人猿のほとんどはケニアとウガンダから発掘されているが、ケニアに比べて、ウガンダの化石類人猿についての資料は圧倒的に少ない。ウガンダのモロトピテクスはケニアの豊富な資料によって知られているプロコンスルなどよりも四肢骨特徴・運動適応において、はるかに現代的であるという研究がある。しかし、モロトピテクスの化石資料は少なく、その主張には疑問もあり、また実際に原資料を調べた研究者は必ずしも多くない。ところが、1960年代にモロトピテクス資料と共に発掘されながら、断片的であるとして、未整理、未記載のまま放置されている類人猿化石がウガンダにある。未知の部分が多いウガンダの化石類人猿の運動適応を明らかにするためには、これらの記載済み、未記載資料の研究が肝要である。

ウガンダ博物館(カンパラ)とケニア国立博物館(ナイロビ)を訪問し、所蔵されている類人猿化石資料の分析を行った。
ウガンダ博物館では、モロトピテクスの腰椎として通常言及されるUMP67.28にはMor II 61の番号がつけられた椎体が共伴しており、これはこれまで考えられていた胸椎ではなく、腰椎であることを確認した。その特徴の多くは UMP67.28と共通するが、横突起の位置については異なることを明らかにした。また、1960年にW. Bishopによってモロトから収集された未記載資料の中に大型類人猿の左舟状骨があることを確認した。現在、モロトからは大型類人猿としてはモロトピテクスしか知られていないため、これはモロトピテクスと考えるのが妥当である。これらの資料をケニア国立博物館所蔵の標本と比較し、モロトピテクスの運動適応について考察した。


ウガンダ博物館


カンパラ市内遠望

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