事業報告

事業番号18-059

ダナムバレー森林保護区の霊長類の群集生態学

報告者:半谷 吾郎

期間:2006年12月21日 〜 2007年1月6日

訪問先: マレーシア・ダナムバレー森林保護区

申請者は2006年9月からマレーシア・サバ州(ボルネオ島)のダナムバレー森林保護区で、昼行性霊長類5種の群集生態学的調査を行っている。2006年は9月、10-11月、12月の三回の調査を行ったほか、マレーシア人のアシスタントが申請者の不在中も現地で資料収集を継続している。

これまで、調査地にある総延長9.9kmのトレイルを利用して、ライントランセクト法による霊長類の密度センサス、オランウータンのネストセンサス、落下果実のセンサスを行ってきた。また、5種の中でもっとも遭遇頻度が高く追跡が容易なクリイロコノハザルの1群を、人付けと予備調査のために追跡し、食物と遊動ルートについての資料を収集してきた。

2006年12月22日-29日までの8日間ダナムバレー森林保護区に滞在し、そのうち5日間クリイロコノハザルの調査を行い、4日間27時間にわたって追跡することができた。今回からスキャニング法による組織的な行動資料の収集を開始した。10分に1回、見える範囲のすべての個体の活動(移動、休息、採食、毛づくろい)、その個体のいる高さ、その個体のいる木の高さを記録し、採食している場合は食物サンプルを収集して、同定した。

群れはかなり人馴れしており、移動速度もそれほど速くないので、追跡は容易であり、9時間40分にわたって追跡できた日もあった。今後も資料の収集を継続し、食性や活動配分などの基本的な生態学的特性を明らかにしていきたい。

2007年1月3日には、サバ州政府経済企画局で、観光局や森林局などの関係者の立会いの下、調査許可書更新のための発表を行った。9月と10月の調査結果をもとに発表を行ったが、霊長類の密度センサスで60回以上も発見事例があるなど、調査が順調に進んでいることを認められた。また、現地対応者であるマレーシアサバ大学熱帯生物学・保全研究所のヘンリー・バーナード博士とも研究打ち合わせを行った。1月5日にはクアラルンプールの連邦政府経済企画局を訪問し、調査許可書更新申請を行った。


クリイロコノハザル Red-leaf monkey

 


クリイロコノハザルの食物 Food of red-leaf monkeys

 

HOPE Project<>