事業報告
事業番号18-058
大型類人猿の腸内に生息する原生動物に関する研究
報告者:牛田 一成
期間:2006年11月13日 〜
2006年12月01日
チンパンジーをはじめとする大型類人猿の大腸には、原生動物(Troglodytella
abrassarti)が生息していることが知られている。この原生動物は、ヒトに飼育されたチンパンジーなどからは検出されないことが、シエラレオネ国タクガマチンパンジーサンクチュアリの
Garriga獣医師によって観察されており(牛田への私信)、食餌を始めとした生活環境の影響を受けることが示唆されている。この原生動物の記載は1912年にさかのぼるが、その機能や生態、および遺伝子塩基配列についてはまったく未知である。そこで、シエラレオネ国タクガマチンパンジーサンクチュアリの半野生チンパンジーにおいて、T.
abrassartiの標本を採取し、生息数を検討するとともに帰国後に原虫細胞を精製しそこから18S
rRNA遺伝子を単離し、塩基配列を解析するために現地への派遣を必要とした。
タクガマ・チンパンジーサンクチュアリにおいて、複数のチンパンジー個体から新鮮便を採取し、直ちにリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で5倍希釈しガーゼ濾過した。ろ液100mlにショ糖あるいはグルコース1gを加えて、100ml容の分液漏斗にうつし、約37℃で1時間静置培養した。培養後、下層に沈殿した分画を回収し、エタノール中に固定するとともに、一部をMSF溶液で染色した。調整した標本について、顕微鏡観察を行い原虫の集積を確認した。この操作を、採取可能な個体群の全てから計3回繰り返し、Troglodytella
abrassartiのエタノール固定標本を作製した。また、同時にビフィズス菌の菌数測定のために、年齢および性別を異にする8頭のチンパンジーの新鮮便を採取しエタノール固定した。シエラレオネでの活動後コナクリに移動し、京都大学霊長類研究所・ギニア政府高等教育局(DNRST)ボッソウ環境研究所共催のボッソウ30周年記念シンポジウムに出席し、講演した。
Trogrodytella spp (x10)
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Trogrodytella spp (x40)
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Tacugama Chimpanzee Sanctuary - Laboratory
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Tacugama Chimpanzee Sanctuary放飼場
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Bossou30an シンポジウム
ギニア共和国政府教育大臣および
駐ギニア日本大使による
開会に当たっての祝辞朗読
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HOPE Project<>
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