事業報告

事業番号18-053

ヒト、チンパンジー、ニホンザルにおける絵画的奥行き知覚:選好リーチング課題を用いて

報告者:伊村 知子

期間:2006年9月17日 〜 2006年10月1日

アメリカ

 派遣者は、チンパンジーの乳児と成体およびニホンザルの乳児を対象に、2次元平面からの3次元奥行知覚、すなわち絵画的奥行き知覚の発達的・進化的起源について検討してきた。新たな実験パラダイムとして、リーチング反応を指標とした奥行き弁別課題をチンパンジーの成体で実施することを計画している。このパラダイムは、従来ヒトの乳児を対象におこなわれてきたものだ。この方法をチンパンジーに適用するには、装置や訓練方法に改良が必要である。そこで、ヒトの乳児を対象としたリーチング反応による実験方法を学ぶため、この方法を開発した第一人者であるアルバート・ヨナス教授(アメリカ、ミネソタ大学乳児発達研究所)を訪問した。チンパンジーの成体やニホンザルの乳児を対象とした実験計画について、ヨナス教授と意見交換をおこなった。

 チンパンジーの成体やニホンザルの乳児を対象にリーチング反応を指標とした奥行き知覚に関する研究を遂行するため、実験計画や分析方法について議論するとともに、刺激の作成をおこなった。ヒトの乳児での実験に参加し、刺激や装置を見学するとともに、リーチング反応の計測方法を習得した。また、チンパンジーの成体、ニホンザルの乳児を対象とした新しい実験の計画を提案し、ヨナス教授とともに手続きや装置について話し合った。コロラド大のカール・グランラド助教授にもアドバイスをいただいた。その後、実験に使用する刺激を作成した。それ以外に、幼児発達研究所のセミナーでこれまでの研究について発表をおこない、大学院生や先生方と意見交換をした。また、ミネソタ大幼児発達研究所のハーバート・ピック教授、同大学心理学科のダニエル・カーステン教授のもとで研究についてお話し、意見やアドバイスをいただいた。


ミネソタ大学幼児発達研究所

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