事業報告
事業番号18-048
中期中新世アフリカ産ホミノイドの周辺哺乳類相についての研究
報告者:辻川 寛
期間:2006年9月23日 〜
2006年10月29日
ケニア北部ナチョラより発見された中期中新世大型ホミノイド,ナチョラピテクスはその解剖学的特徴から樹上生活者であったと考えられているが,動植物相や堆積環境,古環境の分析などを含めた総合的検証が必要である.本研究は,ナチョラピテクスの周辺哺乳類相を明らかにし、当時の環境を分析することを目的としている.ナチョラからは膨大な数の哺乳類化石が収集されているが,今回の渡航では,環境を反映する傾向の強い大型草食哺乳類であるサイ類(奇蹄目)とキリン類・ウシ類(偶蹄目反芻亜目)を資料として選んだ。ケニア国立博物館には,ナチョラ地域から採集された哺乳類化石だけでなく,比較に必要なケニア国内の資料が,また,フランス自然史博物館には,ナチョラの哺乳類と同時代のユーラシア産の哺乳類化石がそれぞれ大量に所蔵されており、渡航先での研究が必要である。
ケニア国立博物館では、ナチョラから採集されたサイ類・反芻類化石の記載論文作成のためのデータ収集を行った。また、これらの標本とケニア国内から産出した前〜中期中新世の哺乳類資料との比較も行った。フランス自然史博物館では、ナチョラ産哺乳類との比較のために同博物館所蔵の中新世ユーラシア産の哺乳類化石のデータ収集を行った。ナチョラのサイ化石はユーラシアのものとは形態が大きく異なり、アフリカ固有属であることが分かった。また、中新世アフリカ・ユーラシアの哺乳類化石を長年研究してきた、マーチン・ピックフォード博士とアフリカの化石哺乳類相・古環境の変遷について意見交換をした。

フランス自然史博物館(パリ)、比較解剖学・古生物学陳列館

ケニア国立自然史博物館、古生物学部門スタッフ

ケニア国立自然史博物館、古生物学部門スタッフ
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