事業報告
事業番号18-037
第21回国際霊長類学会大会での研究発表ならびに類人猿生息地の調査地見学
報告者:早石 周平
期間:2006年6月24日 〜
2006年7月6日
ウガンダ
野生類人猿を対象としたさまざまな研究および世界各地で実施されている霊長類研究の現状を的確に把握するうえで、国際霊長類学会大会に参加して、情報を収集することが必要であった。また、派遣者らが行ってきた霊長類の系統地理学的研究の結果は、今後の類人猿研究においても新たな研究側面を提供するものであり、広く成果を公表する必要があった。
一方で、野生霊長類の保全活動において、国立公園内に生息する動物を対象としたエコツーリズムは、持続可能な自然環境利用の現実的な実践である。この分野では、類人猿を対象としたエコツーリズムが最も注意深くプログラムされたものであると認識しており、今後の日本国内など類人猿の生息していない地域でのエコツーリズムのあり方を検討するうえで、実践現場での活動を詳細に視察する必要があった。
第21回国際霊長類学会大会に参加し、おもに類人猿を対象とした研究報告から野生霊長類研究の最前線の情報を収集した。今回の大会では派遣者が主な研究対象としているマカカ属の研究報告は少なかったため、マカカ属研究者との交流と意見交換の場として、派遣者らのポスターによる発表の機会を活用した。また今後の国際霊長類学会の研究動向を分析するために、資料収集と分析課題の検討を行った。
大会終了後、ウガンダ共和国のブウィンディ原生国立公園内で実践されている野生ゴリラのエコツアーに参加した。野生ゴリラの観察許可申請から、宿泊施設の手配、国内の移動、管理事務所でのゴリラを観察するうえでの注意喚起、実際のゴリラ観察に至るまでの過程が、システマティックに良く整備されていることが実践的に理解できた。直接観察の時間は、1時間と制限されているが、採食時の個体間距離やコドモの遊び、といったアドリブ的な観察を行えることが分かり、野生霊長類を対象としたエコツアーは、単なる物見高いツアーに終始しない実践学習的なエコツーリズムとして展開できる側面を持つことを理解した。
ポスター発表でIPS大会に参加した早石
ブウィンディの野生マウンテンゴリラ、シルバーバック(左)とアカンボ
HOPE Project<>
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