事業報告
事業番号18-021
霊長類におけるオス間の繁殖の偏り:モデルの検証と性感染症との関連
報告者:沓掛 展之
期間:2006年05月11日 〜
2006年05月20日
マックスプランク研究所 進化人類学研究所
派遣者は2004年からNunn博士と繁殖の偏りに関する共同研究を行っている。共同研究を効率的にすすめるうえで、直接の議論、共同分析作業が必要であった。とくにNunn博士によって製作された、霊長類における性感染症・寄生虫のデータベースと、派遣者による繁殖の偏りに関するデータベースを、直接、照合させる必要があった。また、当地では、Nunn博士による繁殖の偏りと性感染症の伝播に関するシミュレーションをもとに、今後の分析方法を協議した。今回の派遣によって、共同研究者との直接の議論を行い、共同研究が効率的に進んだ。
ドイツ・マックスプランク進化人類学研究所を訪問し、共同研究者であるCharlie
L Nunn博士(Department of Primatology)と、霊長類における繁殖の偏りに関する研究を行った。具体的には、(1)オス間の繁殖の偏りを生み出す要因を種間比較法によって分析し、数理モデル検証した;(2)繁殖の偏りが霊長類の社会構造や性感染症の伝播に与える影響の分析、とくに繁殖の偏りが、性感染症伝播の性差に与える影響についての理論的研究と文献調査を行った;(3)繁殖の偏り研究の保全生物学的な意義を議論した;(4)共著論文の共同執筆(Kutsukake
and Nunn)を行った;(5)今後の共同研究についての話し合いを行なった。上記業務以外に、Department
of Primatologyのセミナーで講演を行い、当地の研究者、大学院生と交流した。また、ライプチッヒ動物園において、ボノボの行動観察を行った。

動物園で観察したボノボ
HOPE Project< >
|