事業報告

事業番号18-017

ベトナムと中国南部の霊長類分布・生息実態の予備調査ならびに東南アジア動物園協会大会への出席

報告者:濱田 穣

期間:2006年9月10日 〜 2006年9月30日

ベトナム、中国

 ベトナムと中国南部は、マカクを始めとする多様な霊長類が分布し、それらの進化にとって重要な地域であり、そこでの研究が望まれている。本派遣による研究は、霊長類、特にマカクの分布と生息実態についての概要を掴むこと、および共同して研究をすすめる体制を確立することを目的としている。ちょうどホーチミン市(ベトナム)で第15回東南アジア動物園協会年次大会が開催されたので、各国の動物学・保護・飼育施設の関係者が集まるので、それを良い機会として、本調査を計画した。

まずホーチミン市で開催された第15回東南アジア動物園協会年次大会に参加し、"Present Status and the necessity of conservation of rhesus macaques (Macaca mulatta) in SE Asia" (Son VDらとの共同研究)を発表するとともに東南アジアを中心とするアジア・オセアニア諸国の関係者と情報交換を行なった。ついでダラット市(Nui Ba国立公園)とダナン市近郊(Cham島やSonTra半島)でマカクの分布・生息実態調査を行なった。Cham島(北緯約16°)ではアカゲザル群れを観察しDNA資料を収集した。

中国広西壮族自治区では広西師範大学で同区内の霊長類の分布・生息状況についての情報収集を行った。ベニガオザル・チベット・アッサムという近縁マカクが分布しており、種間関係が興味深い。市内の七星公園でアカゲザルの形態観察とDNA資料収集を行なった。さらに桂林から北西へ約60kmにある花坪国家級保護区でチベットモンキーとアカゲザルに関する調査を行なった。


Cham_Macaque
  チャム島は中部ベトナムのホイアン市の東方約30kmに浮かぶ島である(北緯約16°東経108.5°)。
カニクイザルが分布すると推測していたが、観察されたマカクは、アカゲザル的であった。

 


Thibetana
 中国広西壮族自治区の花坪国家級保護区の自然保護事務所で飼育されている
チベットモンキー(Macaca thibetana、メス)。
この保護区にアカゲザルが報告されているが、人家に近い地域にしかいないようである。

 

HOPE Project<>