事業報告

事業番号18-015

オランウータン顔面部形態変化のマクロ解剖ならびに骨形態計測における形態学的解析

報告者:川島 友和

期間:2007年2月12日 〜 2007年3月23日

これまで、共同研究利用、大型類人猿情報ネットワーク、昨年度のHOPEなどの機会の一部を利用して、オランウータン顔面部形態変化の解剖学的解析を行ってきた。 この結果を理解するためには、さらなるオランウ?タンの肉眼解剖と頭蓋骨の大量のデータ収集が必要であった。しかしながら、それらを行うためには、標本を有する施設での解析が必要であり、日本国内では不可能であった。また、昨年度のHOPEにおいて、ベルリン自然史博物館においてオランウータン頭蓋骨の形態計測を行ったが計測不備なども存在し、これを補う必要もあった。 そのため、海外において研究を必要とした。

オランウータンの顔面部は、著しい性的成長変化を有することが良く知られている。しかしながら、それらは軟部組織を実際に解剖しその変化を直接的に観察したものはほとんど見当たらない。われわれは、これまでにオス成体のオランウータン顔面部のマクロ解剖から、顔面部に存在するいくつかの神経に、この種に特徴的な所見を得ており、さらなる解析を希望していた。今回、まずはじめにライデン国立自然史博物館にて、オス幼体オランウータン1体のマクロ解剖と数十体の頭蓋骨の形態計測を行った。同博物館は、オランウータンのコレクションを多数有している事でも有名である。次に、ベルリン動物学研究所 (IZW)でメス成体オランウータン1体のマクロ解剖とベルリン自然史博物館において、オランウータン頭蓋骨の骨計測を行った。両施設とも昨年度のHOPEによる交流の関係から容易に材料の入手や協力を得る事が可能となった。これらの様々な角度からの解析結果は、オランウータン顔面部の形態が、加齢とともに性的成長変化を有することを示していた。



ベルリン自然史博物館(Berlin Museum of Natural History)



オランダ・ライデン国立自然史博物館(Leiden National Museum of Natural History)

HOPE Project<>