事業報告

事業番号18-012

半野生フサオマキザルのナッツ割り行動に見られる因果認識

報告者:藤田 和生

期間:2006年8月2日 〜 2006年8月15日

ブラジル国・ブラジリア郊外のTiete Ecological Parkには、ナッツ割りをする半野生のフサオマキザルが生息しており、サンパウロ大学の Eduardo Ottoni 博士らによって、継続的な観察がされている。半野生のフサマキオザルの石器使用に見られる因果認識、特に、道具の材質に関する理解について野外実験によって分析し、明らかにすることを目的とする。

野生・半野生のフサオマキザルは、硬い敷石の上でハンマー石を使い、ナッツ割りをすることで知られている。これに基づき、ブラジル国のTiete Ecological Parkにおいて、サルが、石器使用についてどれだけ深い因果理解をもっているのかについて実験を行った。 はじめに2つの敷石を用意した。一つは、硬いセメントブロックのもの。もう一つは、柔らかいスポンジとゴムでできたもの。その近くに、彼らが慣れている硬い石とナッツを置いた。実験中、サルたちは一貫して硬い敷石を使用した。板の横の土の上で割ろうとしたものもあったが、柔らかい敷石を使ったものはいなかった。このデータから、敷石の表面の硬さが、ナッツ割りを成功させるのに重要な要素となることをフサマキオザルが理解していることが示唆された。 さらに、ハンマー石の材質にかかわる因果認識についての研究分析を進める予定。特に、ハンマー石の硬軟の違うものや、形状の異なる石を試す。これらの試みのいくつかは、すでに共同研究者によって進められている。


Filo という名前のメスのキャプチンがナッツを割っている。


実験のセッティング。左の敷石はやわらかく、右は固い。
慣れているハンマーストーンと椰子の実を敷石の間に設置した。

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