事業報告

事業番号18-006

後期更新世・完新世において絶滅した大型哺乳類及び大型鳥類のancientDNAの研究

報告者:米澤 隆弘

期間:2007年3月7日 〜 2007年3月17日

マックスプランク進化人類学研究所はancientDNAの研究では、97年に世界に先駆けてネアンデルタール人のミトコンドリアDNAの研究を行って以来多くの絶滅生物のDNA研究に関して多くの研究を行ってきた。2006年にはマンモスのミトコンドリアゲノムの決定、及びネアンデルタール人の核ゲノム100万bp以上を決定しており、世界でも最高水準の設備と技術を有する。以上のような理由から、本研究を進めるにあたって、マックスプランク進化人類学研究所との共同研究が重要であると考えられる。

マックスプランク進化人類学研究所にて、現在我々のグループで研究計画を進めている、いくつかの種のancientDNAに関する研究計画について議論を行った。そのうち一部の種に関しては、既にマックスプランク進化人類学研究所側で研究を終了していたが、大部分の種に関して今後の研究が期待されるという結果になった。私自身は日程の都合上マックスプランク進化人類学研究所で実際に分子生物学的実験を行うことは出来なかった。また同時にセミナーを開催し、私は系統樹推定におけるモデル選択の重要性について講演を行った。また分子系統樹推定において、化石記録を常に考慮する必要があるが、そのために私はワルシャワの科学アカデミーを訪れ、Wolsan教授と系統樹推定及び分岐年代推定に関する化石記録に関する議論を行った。同時にワルシャワ科学アカデミーでもセミナーを開催し、モデル選択の重要性について講演した。分子系統樹推定において実験技術、解析手法、化石記録のいずれの要素も必要不可欠な要素であり、今回の訪問はこれらを統合する第一歩になったと考えられる。


マックスプランク進化人類学研究所内部の様子。
非常に近代的で規模の大きな研究所である。


マックスプランク進化人類学研究所内部の様子。研究成果の展示。


ポーランド科学アカデミーのWolsan教授の近影

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