事業報告

事業番号18-001

バーバリマカクとニホンザルの食物の化学成分の比較

報告者:半谷 吾郎

期間:2006年6月17日 〜 2006年7月6日

訪問先: モロッコ、ウガンダ

 HOPE事業の援助を受けて、派遣研究者は2004年度から、ニホンザルとバーバリマカクの生態学的特性を比較する研究を遂行している。これは、温帯に生息する霊長類の生態学的適応の一般性を探る目的で行っているものである。2004年度にはフランス・レンヌ大学のネリー・メナード博士を訪問して共同研究の可能性について議論した。その結果、食性と生息環境については両者の持つ既存の資料を比較し、葉の化学成分については、ニホンザルの場合は派遣研究者の屋久島の資料、モロッコについては派遣研究者が現地で採取を行うことで合意した。2005年度には、10月にモロッコを訪れて木本の葉の採取を行った。

 今回は、前回採取できなかった草本の葉を採取することを目的とした。また、メナード博士がモロッコで野外調査を実施中であったため、共同研究の進行状況について議論した。

 残念ながら、夏を前にしてすでに枯れてしまっている種もあり、採取できた草本は4種にとどまった。これらの葉は重量と面積を測定後、乾燥して粉砕し、化学分析用に保存中である。

 モロッコでの野外調査後、ウガンダで行われた第21回国際霊長類学会大会に出席した。"Food competition, competitive regime, and female social relationships of Japanese macaques: within-population variation in Yakushima"という演題で研究発表を行った。学会後はキバレ国立公園で行われたエクスカーションに参加し、チンパンジーをはじめとして9種の昼行性の霊長類を観察することができた。また、キバレの研究や保全の現状について、世界各地の研究者と懇談することができた。


モロッコでの葉の採取。右がモハメド・カロ博士、左がネリー・メナード博士


キバレ国立公園でのエクスカーションで、
夕食後に行われたキバレの研究の現状についての懇談会

HOPE Project<>