事業報告

事業番号17-033

インドネシアの人々の身体成長・発達、とくにロコモーション発達との関連が強い手足の発達パターンを調査し、これまでに得られている日本人やトンガ人の成績と比較し、手足の発達パターンと生活スタイル・生活環境の関連を明らかにする

報告者:権田 絵里

期間:2005年11月26日 〜 2005年12月26日

ボゴール農科大学 インドネシア

 身体形態の成長・発達とロコモーション機能発達は密接に関連すると考えられる。とりわけ足部形態は身体と支持基体の接点であり、ロコモーションの質・量および発達変化を明瞭に反映すると考えられる。権田はこれまで太平洋トンガ諸島で3-68才の人々を対象として3回にわたり手足部を主とする生体計測学的調査を行った。当該集団は、東南アジア起源とされるが、日本人と比べて身体は大きくかつひじょうに頑丈である。

これらの結果と比較するため、昨年11月から12月にかけてインドネシアの中部でジャワ人集団を対象として、生体計測ならびに、ペドスコープ撮影に基づく足底観察を行ってきた。ペドスコープ撮影は土踏まずの形成など、足底接地面の年齢変化を知るためである。

今回の調査では昨年の調査の継続としてジャワ人の少年期前期および成人男女の計測を行ない、生活スタイル・環境の違いがロコモーションに関連する身体形態発達にどう影響するかを、明らかにすることが参加の理由である。

ボゴール農科大学(インドネシア、西部ジャワ州ボゴール市内)で調査準備と打ち合わせののち、ジャワ島の中部ジャワ州・チラチャップ市において住民の身体計測調査を実施した(ボゴール農科大学理学部と協同研究)。対象とする被験者のうち、子どもについてはチラチャップ市内の公立小学校「SDN, Donan 04」において、第1学年および第2学年の少年25名、少女30名(満5歳から8歳)、計55名を計測した。また、成人については同市内の「RT01/RW06 Donan」地区(全58世帯)において住民男性16名、女性18名、計34名を計測した。

直接計測項目は全部で10項目(身長、体重、手長、手掌長、手幅、手首幅、ひじ幅、ひざ幅、足首幅、足囲)。足部計測項目(足長、足幅など)は間接計測を行なうため、スクライバーによる足部輪郭描図とペドスコープによる足裏投影画像を撮影した。計測に用いた用具はアントロポメーター、体重計、ノギス、スクライバーである。

児童の計測(SDN, Donan 04にて)

 

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