事業報告

事業番号17-029

コンゴ民主共和国ワンバ村における野生ボノボの生態調査

報告者:竹元 博幸

期間:2005年12月15日 〜 2006年1月31日

森林生態研究センター コンゴ民主共和国

コンゴ民主共和国ルオー学術保護区ワンバ地域は、長年日本の調査隊による野生ボノボの調査が行われてきた貴重な地域であり、今後も研究を継続していく必要がある。近年、ワンバ地域での調査が少なく、以後の調査運営のためにもできるだけ現地入りし、調査体制を整えていくことが望ましい。

 また、竹元はボノボの近縁種であるチンパンジーの生態研究を10年に渡り続けてきている。ボノボとチンパンジーの種分化など大型類人猿の進化を考察するために、両種の採食生態や森林の微気象を比較することはかねてからの希望でもあった。

 2005年12月15日から2006年1月31日にかけて渡航した。キンシャサでは森林生態研究センターのMwanza所長と今回の調査および今後の調査体制について打ち合わせを行なった。ルオー保護区のワンバ村には2005年12月24日から2006年1月24日まで滞在した。

 現地では温湿度計を1.5mから21mの高さまで4ケ所に設置し、森林内の気温の垂直構造を測定した。また、既存の観察路に長さ400mのトランセクトを設置し、果実量および新葉の量を評価した。ボノボは、観察可能な日は終日個体追跡して森林内でボノボが利用する高さを一定時間ごとに記録した他、採食や移動等行動の時間配分の資料を記録した。

これらの資料を解析することにより、ボノボの森林内の空間利用を体温調節のコストの低減という側面から追求できるだろうと考えられる。 その他、今後の円滑な調査運営のために、現地の調査協力者や村人と調査運営上の様々な打ち合わせ、話し合いをおこなった。


コンゴ盆地の熱帯林


2005年生のアカンボウ


倒木の上で休む


Dialium果実の採食

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