事業報告
事業番号17-017(若手交流)
バーバリマカクとニホンザルの食物の化学成分の比較
報告者:半谷 吾郎
京都大学霊長類研究所・日本学術振興会特別研究員(PD)
期間:2005 年 9月 29日 〜
2005年 10月 17日
訪問先:モロッコ モハメド5世大学
バーバリマカクはニホンザル同様温帯に適応した数少ない霊長類のひとつであり、この2種の比較研究は温帯への霊長類の進出の過程を明らかにする上で重要であると考えられる。バーバリマカクの食性や生息環境についての基礎的な調査はフランスやモロッコの研究者によって行われているが、食物の化学成分についての調査は行われておらず、現地での資料収集が必須である。野生バーバリマカクはモロッコとアルジェリアに生息しているが、アルジェリアは現在政情不安のため入国が難しい。そのため、モロッコで調査を行うことにした。
サレ国立林業研究所、モハメド5世大学を訪問し、モハメド・カロ博士、モハメド・ムーナ博士、モハメド・イブン・タトゥー博士と会見し、バーバリマカクの最新の研究状況について情報を収集した。カロ博士は牧草地の管理が専門であり、フランスの霊長類学者ネリー・メナードとバーバリマカクの樹皮剥ぎ行動について共同研究を行ったことがある。ムーナ博士は動物学者で、モロッコで現在バーバリマカクの調査を行っているイタリアやオランダの霊長類学者の対応者になっている。タトゥー博士は植物学者である。カロ博士、タトゥー博士とともに中部アトラスのバーバリマカク生息地を訪問し、生息地内に自制している主要な木本32種の葉を網羅的に採取した。採取した葉は同定と面積測定用に写真撮影を行い、枚数を数えて簡易乾燥を行った。採取した葉は日本で栄養成分とタンニン含有量について実験を行う予定である。

中部アトラスのバーバリマカク。

中部アトラスのバーバリマカク生息地、Cedrusの森林。
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