事業報告
事業番号17-008
霊長類歩行運動における体幹運動の寄与
報告者:荻原 直道,
京都大学・大学院理学研究科・助手
期間:2005年9月24日 〜
2005年10月22日
訪問先:ドイツ イルメナウ工科大学
霊長類は,体幹(胸郭-脊柱-骨盤)のプロポーションに規定される慣性や,筋骨格構造に内在するバネ的特性を利用して,エネルギ効率が良く,環境の変化に対しても極めて適応的な移動運動を実現している。こうした体幹の形態と運動の相互適応メカニズムを明らかにすることは,異なる環境に適応して多様な移動様式を発達させた霊長類の進化を理解するうえで極めて重要である。
今回訪問したドイツの研究グループは,歩行中の四肢・体幹運動の分析にX線カメラを用いる先駆的な研究で知られおり,共同研究の打ち合わせを行うため本渡航を必要とした。
イルメナウ工科大学の霊長類機能形態学者であるH.
Witte教授の研究室,およびイエナ・フレードリッヒ・シラー大学動物学教室(M.
Fischer教授)を訪問し,「Contribution of trunk movements to
primate locomotion」と題した共同研究を立ち上げるための打ち合わせを行った。その結果,今後ニホンザルおよびヒトを対象として,歩行中の体幹運動の計測・分析・モデリングを協力して進めていくことで一致した。
また,両大学の生体工学,運動生理学,スポーツ科学分野の研究者とも会見し,歩行研究の最新動向について情報収集を行った。
さらに,イルメナウ工科大学で開催された3rd
International Symposium on Adaptive Motions of Animals and Machines
(動物と機械の適応運動に関する国際会議)に出席し,二足歩行訓練を受けたニホンザルの動力学的歩行分析について研究発表を行った。
3rd International Symposium on Adaptive Motion in Animals and Machines
が行われたイルメナウ工科大学講堂
イエナ・フレードリッヒ・シラー大学動物学教室
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