事業報告

事業番号17-004

霊長類を含む哺乳類化石と現生集団の比較形態学的検討

報告者:遠藤 秀紀

期間:2005年5月21日 〜 2005年6月1日

訪問先:ドイツ ベルリン自然史博物館

 

派遣研究者は、現在、テンレック類、ツパイ類、マメジカ類、リーフモンキー類の骨学的変異論を展開している。とくにテンレック類では水棲適応群の形態形質について議論を進め、テンレックに関する世界的権威、アシャー氏が研究を続けるベルリン自然史博物館において、標本を検討し、討議を重ねる必要が生じていた。また、同博物館には、世界有数のツパイ類、反芻類、旧世界猿類の現生および化石標本が収蔵されているため、これらをまとめて検討し、総合・比較する機会を必要とした。一方、ベルリンの野生動物医学研究所の世界的にも最新の医用画像システムを実地で研修する機会が必要となっていた。またHOPE事業の主要な交流機関となっているマックスプランク研究所において、霊長類形態の最新の議論に加わり、類人猿飼育システムを把握する目的が生じていた。

 ベルリン自然史博物館において、リーフモンキー類、ツパイ類、マメジカ類の骨計測額的検討を行った。テンレック類の進化静物学の権威である同館キュレーターのロバート・アシャー氏とは、テンレックの適応的形態形質について討論を進めた。それをもとに、水棲テンレックの後肢のロコモーション機構に関して、国際誌への投稿を開始している。ベルリンの野生動物医学研究所では、三次元デジタル形態学の最新の技法について討議した。また、マックスプランク研究所では、遺伝学的および形態学的な高等霊長類の変異について討議し、ボノボやゴリラのような大型類人猿の飼育システムについて情報を得た。


ベルリン自然史博物館の遠藤


マックスプランクで研究中のボノボ


マックスプランク研究所と遠藤

 

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