事業報告
事業番号17-001(共同研究)
野生チンパンジー生息地ギニア・ボッソウにおける森林構成の歴史的変遷に関する調査
報告者:山越 言
京都大学・大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・助教授
期間:2005年4月26日 〜 5月18日
派遣先:フランス・パリ市・自然史博物館、フランス・マルセイユ市・社会科学高等研究院、イギリス・オックスフォード市・コルトラント博士私邸、オランダ・ユトレヒト市・ユトレヒト大学、オランダ・ライデン市・ライデン自然史博物館
初期人類の生活形態と生息環境との関係を推測するためには、現生チンパンジーの生活と森林の状況との関係の分析が非常に有効である。ギニア共和国ボッソウ地域では、1976年以降京大による長期研究が行われており、現在の森林の状況については分析が進んでいるが、76年以前のチンパンジーの個体群と森林の保全状況については不明な点が多い。
当地では、京大隊以前にも、1940年代にフランス自然史博物館隊、60年代にアムステルダム大の短期調査が行われていたが、今回これらの調査に参加した人物に面会し、当時撮影された写真や映像資料の収集にあたった。これらの資料により、20世紀中盤の森とチンパンジーの状況について貴重な洞察が得られることが期待される。
このような、現地フィールド調査と「歴史的資料」とを統合する研究アプローチは、これまで類似の例が少なく、新たな研究手法を開拓するという面でも独自性が高い。
フランス国立自然史博物館を訪ね、1940年代からギニア・ニンバ山地において昆虫学研究を行ってきたロジャー・ロイ博士と面会した。過去の写真に関して提供協力の相談をしたが、保存状態が悪いものが多く、整理にも時間がかかるとの状況であった。今後の協力および写真の整理を依頼した。
フランスの野外類人猿研究の第一人者であるジュリアン博士をマルセイユに訪ね、情報交換を行った。氏は最近ギニア共和国での研究プロジェクトを立ち上げており、チンパンジーの生息環境と生活形態との関連をギニア国内で広域的に比較する計画について、積極的な見通しを得た。
英国オックスフォード市に、コルトラント博士私邸を訪ねた。氏から快くアムステルダム大学調査隊の映像資料の利用許可を頂いた。その他、60年代当時のボッソウ地域の状況について、有意義なコメントをたくさん頂いた。
オランダ、ユトレヒト大を訪ね、ステルク博士および大学院生のクープ氏の協力を得て、ライデン自然史博物館保管のアムステルダム大調査隊資料を閲覧した。写真や16mmフィルムなどの映像資料の存在を確認し、インデックス等の文書資料も良い状態で保管されていることを確認した。写真について、フォトCDとして電子化する手続きを行った。
フランス社会科学高等研究院
ライデン自然史博物館
HOPE Project<>
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