事業報告

HOPE報告2004年10月1日

事業番号20(共同研究)

調査内容:チンパンジーの社会的知性に関する研究の情報交換と国際霊長類学会およびプレならびにポスト・コングレス・ワークショップへの参加

報告者:平田聡 (林原大型類人猿研究センター)

期間:2004年 8月19日〜2004年 9月 2日

ドイツ・マックスプランク進化人類学研究所で開催されたHOPEセミナー"Chimpanzee cognition: from visual to social 
cognition"に参加した。このセミナーは、同研究所の認知発達心理学部門に属する研究者を対象におこなわれたものである。

派遣者は、チンパンジーの協力行動に関する2つの実験の成果を発表した。同研究所のブライアン・ヘア博士とエリシア・ペレス氏も同様にチンパンジーの協力行動に焦点を当てた実験的研究をおこなっている。その方法にはいくつかの点で差異があり、互いの方法の長所と短所、これからの方向性について詳しく議論した。また、ジョセップ・コール博士の案内で、ライプチッヒ動物園の大型類人猿飼育研究施設ポンゴランドを視察し、設備面でのコストと利点について情報交換をおこなった。

イタリア・トリノのリンゴット会議場で開催された第20回交際霊長類学会では、ヒトとチンパンジーが協力する実験課題のなかで見られるチンパンジーのコミュニケーション行動に焦点を当てた発表をおこなった。ウィリアム・ホプキンス博士、チャールズ・メンゼル博士、キム・バード博士らから、同研究の今後の新たな発展の可能性について示唆を頂き、それぞれの研究者がおこなった関連する研究についても交えてチンパンジーの社会的認知について議論した。

イタリア・コーニュのノートルメゾンで開かれたHOPEミーティング"Tool use: chimpanzees and capuchins face to face"では、チンパンジーにおけるナッツ割りの学習と社会的伝播に関する研究成果を発表した。オマキザルを対象に同じくナッツ割り道具使用の研究をおこなっているエリザベッタ・ビザルベルギ博士と話し合い、チンパンジーとオマキザルで同じ方法を用いた分析をおこない直接比較可能な資料作りを目指すために今後も継続的に議論を進めることで合意した。


研究棟の看板

 


チンパンジーの屋内放飼場

 


オランウータンの屋外放飼場

 

HOPE Project<>