事業報告

HOPE報告1号、2004年2月23日

事業番号1(共同研究)

ドイツのマックスプランク進化人類学研究所訪問

報告者:茂原信生、岸本佳典、松沢哲郎

期間:2004年2月9日―16日

 HOPE事業のたちあげのために、ドイツ側の対応機関であるマックスプランク協会ならびに拠点研究機関であるマックスプランク進化人類学研究所を訪れた。

 今回のドイツ訪問は、拠点研究機関である霊長類研究所所長の茂原信生、研究所事務長でHOPE事務主任である岸本佳典、日本側HOPEコーチェアの松沢哲郎の3名によるものである。なお別途、日本側対応機関である独立行政法人日本学術振興会から、理事長の小野元之、総務部参事の高橋寛、国際研究協力課長の古川祐子、交流企画第二係長の小林裕美の4氏が渡独し、行動を一部ともにした。

 ベルリンでは、日本大使館に高島有終特命全権大使を表敬訪問した。大使館主催のレセプションが開かれ、ドイツ側の要人と日独科学協力の全般について意見交換した。出席者はウルフディータ・ドゥーゼンハウゼン連邦教育省事務次官、クリストフ・エーレンベルク連邦教育研究省高等教育局長、アンジェリカ・ビエツ日独センター事務総長などである。近年におけるドイツと中国のあいだの事業協力の急速な進展、日本とドイツの学術交流が抱える課題、大学の授業料が無料というドイツの高等教育システムのあり方と見直し、などについて話された。

 ミュンヘンでは、マックスプランク協会(MPG)と日本学術振興会(JSPS)の事業協力に関する包括協定(MoUの交換)とHOPE事業にかかわる署名式に出席した。HOPE事業の説明が日本側コーチェア松沢とドイツ側コーチェア代理のジョゼップ・コールによっておこなわれたあと、MPGのペーテル・グルス理事長とJSPSの小野理事長によって署名がおこなわれた。また、清水陽一ミュンヘン総領事によるレセプションがおこなわれた。

 ライプチッヒのマックスプランク進化人類学研究所(MPIEVA)でドイツ側HOPEコーチェアである認知発達心理学部門所長(全体所長を兼務)のマイケル・トマセロらと会談し、事業の主旨を再確認するとともに、今後の共同研究の進め方について討議した。HOPE事業の協力研究者である、進化遺伝学(比較ゲノム科学)部門の所長であるスバンテ・ペーボと、認知発達心理学部門の主任研究員であるジョゼップ・コールも同席した。またライプチッヒで、松林清明教授・前田典彦技官と合流し、認知発達心理学研究施設としての「ウォルフガング・ケーラー記念霊長類センター」と、昨年できたばかりの研究所本棟の見学をした。いずれもすばらしい施設である。なお、MPIEVAには5つめの部門として、「人類進化部門(古人類学・考古学担当)」が2004年1月1日に発足した。所長はフランス人でボルドー大学にいたジャンジャック・ユブランである。

 以上の公式日程を終えたあと、茂原はスイスのベルン大学ならびにヒューリッヒ大学で、収蔵されている標本資料の調査をおこない、2月19日に帰国した。(文責:松沢哲郎)


ミュンヘンの町のたたずまい。聖ペーテル教会の尖塔から
ラートハウス(右手前)とフラウエン教会(左奥)の方向を眺める。


HOPE Project<hope@pri.kyoto-u.ac.jp>