日本学術振興会先端研究拠点事業
第3回HOPE国際セミナー

「Different types of genetic investigations
 to explain the behaviour of various primates.」

期日:2004年7月8日、17:00−18:00

場所:霊長類研究所(第1会議室が改装中の場合は第2会議室)

タイトル:Different types of genetic investigations to explain the behaviour of various primates.
霊長類の行動の背景にある遺伝的基盤に関する研究の紹介

講師:ヤン・デリュイター博士
ダーハム大学(Durham)進化人類学研究グループ、英国

Dr. Jan R. de Ruiter
Evolutionary Anthropology Research Group
University of Durham, United Kingdom

司会:村山美穂(岐阜大学応用生物科学部)

 本講演の概要は以下のとおりです。過去におこなった研究と、現在進行中の研究について紹介します。

 Ketambeのカニクイザルの遺伝学的研究では、まずタンパクの多型解析をおこない、血縁関係を推定しましたが、父子判定を完全におこなうには多様性が不十分でした。その後、DNAマルチローカスフィンガープリンティング法の採用により父子判定に成功し、繁殖成功度の情報をもとに、マカク類の繁殖戦略を再考することができました。

 さらに、PCRを用いたマイクロサテライト多型の解析により、非侵襲的に得た野生オランウータンの試料を分析して、父子判定とオス同士の血縁判定をおこない、状況に応じたオスの繁殖戦略を明らかにしました。

 現在、マーモセットの行動特性の個体差を測定し、特定の家系に遺伝する行動特性を探索しています。今後、行動特性の個体差に関連する遺伝子を見いだしたいと考えています。