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第二回ウマとサルの民俗アンケート調査の結果

 

2回目のウマとサルの民俗アンケート調査(2008年5月から6月)を実施いたしました。その結果を公開いたします。

調査の対象は、兵庫県、鳥取県、山口県、香川県、徳島県、愛媛県、高知県、福岡県の8県です。一回目の調査に追加する形で行いました。すべての都道府県を網羅することはできませんでしたが、大まかにでも全国的な傾向をつかむ一助となりました。質問項目ごとに、回答いただいた結果を行政区単位で地図化しました。前回同様、旧市町村単位で質問をいたしましたが、新市町村単位で統一し、結果をまとめました。

<地図の見方>

質問1〜6に"ある"、あるいは"あった"という回答をいただいた市町村と、質問1〜6のいずれにも該当しないという回答をいただいた市町村は青色で塗られております。質問8〜12に"ある"、あるいは"あった"という回答をいただいた市町村と、質問8〜12のいずれにも該当しないという回答をいただいた市町村は赤色で塗られております。薄い青色で塗られている地域は、期日までにご回答いただけなかった市町村です。

(この度、前回のアンケート調査の順番を変えて質問いたしました。今回の質問1〜7は、第一回調査の〔質問2〕1〜7に該当し、質問8〜13は、第一回調査の〔質問1〕1〜6に該当します。比較してご覧いただく場合はご注意ください。)

<調査の集計結果>

〔質問〕御地には以下のような信仰や風習(1〜7番)、もしくはそれに関わると考えられる石碑や神社・仏寺(8〜12番)がありましたか。(7番と12番のその他は割愛してあります。)

1.そうぜんしん・ごそうぜんさま(蒼膳神、勝善、宗善、正善、想善、總前、宗前、惣前、勝先などとも書く)   


福岡県


山口県


香川県、徳島県、愛媛県、高知県


兵庫県、鳥取県

過半数以上の回答があったにも関わらず、蒼膳神信仰や風習のある、あったという回答は1つも得られませんでした。

 

2.ばれきしん(馬櫪神)

馬櫪神(ばれきしん)信仰(風習、文化)も、質問1の項目同様、ある、あったという回答は得られませんでした。

 

3.ばとうかんのん(馬頭観音、馬頭観世音)

馬頭観音、馬頭観世音の信仰、風習は広くあった、もしくは現在も残っているということがうかがえます。

 

4.こうしんさま(庚申様、庚申講)

庚申様、庚申講の信仰、風習は広くあった、もしくは現在まで残っていることがうかがえます。

 

5.うまやざる(厩猿)

鳥取県以外では、厩猿の信仰、風習がある、あったという回答は得られませんでした。

 

6.ひえ・ひよし・さんのう・さんのうごんげん(日吉信仰・山王様)

日吉信仰・山王様信仰、風習(文化)は広く信仰されている、されていたようです。

1〜6のいずれにも該当しない

 

8.ウマやサルに関わった石塔、石碑などがある(あった)。

まばらではありますが、今回調査をしたすべての県にウマやサルに関わった石塔、石碑がある、あったことがわかりました。

9.ウマやサルに関わった神社・仏寺がある(あった)。

数は多くありませんが、すべての県にウマやサルに関わった神社・仏寺がみられることがわかりました。

10.馬小屋、牛小屋にサルの頭や手がある(あった)。

鳥取県と愛媛県以外からは、馬小屋や牛小屋にサルの頭や手がある、あったという回答は得られませんでした。これらが厩猿と信仰とどのような関わりがあるのか、調査する必要があります。

11.ウマやサルに関わった神事、祭りがある(あった)。

わずかながらウマやサルに関わる神事、祭りがある、あったことがうかがえます。鳥取県からはある、あったという回答は得られませんでした。

12.ウマやサルに関わった「講」や法会がある(あった)。

わずかながら、高知県以外の県にウマやサルに関わった「講」や法会がある、あったという回答を得られました。

8〜12のいずれにも該当しない。

 

現時点での大まかな特徴は以上のようなものです。今後、それぞれの習俗との関係も分析する予定です。



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