小薮大輔 Koyabu, Daisuke
(京都大学大学院 理学研究科生物科学専攻 形態進化分野 修士課程)興味対象: 脊椎動物の頭部進化、咀嚼器と食性の進化、ナチュラルヒストリー
研究内容:
連絡: koyabu (at) pri.kyoto-u.ac.jp
脊椎動物の頭蓋形態の多様性起源について比較形態学的,数理的観点から検証しています.
推進中の研究
【コロブス亜科およびオナガザル亜科における頭部形態進化と適応戦略】
肉眼解剖,三次元形態測定学,統計学,力学といった手法を組み合わせて,頭部形態が種間で,どう違うのか,なぜ違うのかについて研究しています.採食様式や移動様式といった生態的な要因が,頭骨形態を大きく決定付けていることが分かってきました [論文2, 3].
(Macaca fuscata の三次元筋骨格モデル)
【コロブス亜科およびオナガザル亜科における頭部形態の進化的起源:自然選択か,遺伝的浮動か】
生物の持つ形質は全てが自然選択の産物とは限りません.偶然的な遺伝的浮動の結果による可能性もあります [論文1]. 特に,コロブス類とオナガザル類の一部の種は自然選択では説明の難しい頭部形態をしていることが分かってきました.
そこで,これらの種の頭部形態は自然選択によって生まれてきたのか,あるいは遺伝的浮動によるものなのかを解明するため, 量的遺伝学モデル (Lande, 1979; Cheverud, 1988) をもちいて,頭部形態の分散共分散構造 (PマトリクスおよびGマトリクス) の進化,種間変異を研究しています.
(コロブス類の頭骨標本 霊長類研究所所蔵)
(Macaca assamensis の頭骨三次元幾何モデル)
経歴:2001年4月 京都大学 総合人間学部 入学
2003年7月-2004年7月 カリフォルニア大学バークレー校 京都大学交換派遣留学 (脊椎動物系統学 教室)
2006年3月 京都大学 総合人間学部生物科学科専攻 卒業 (松井正文教授 研究室)
2006年現在 京都大学大学院 理学研究科 形態進化分野 (遠藤秀紀教授 研究室) 在学
会員:
京都大学探検部OB会、日本進化学会,日本哺乳類学会,日本霊長類学会
業績:
[論文]
1. Koyabu, D.B, Malaivijitnond, S., Hamada, Y. (in press) Pelage color variation of stumptail macaques (Macaca arctoides) and its evolutionary implications. International Journal of Primatology
[査読中論文]
2. Koyabu, D.B, Endo, H. Craniofacial variation and dietary adaptations in African colobines. Journal of Human Evolution
3. Koyabu, D.B, Endo, H. Ecomorphological and biomechanical analysis of craniofacial shape variations in colobine monekys (Primates: Cercopithecoidae: Colobinae); special reference to seed eating. Zoological Journal of Linnean Society
[学会発表]
小薮大輔, Suchinda Malaivijitnond, 濱田穣.
「タイ中部から南部に分布するベニガオザルの種内変異とその進化史的含意」 日本霊長類学会大会, 大阪大学, 2006年7月.
小薮大輔, 清水大輔, 遠藤秀紀.
「東アフリカに同所的に生息するコロブス類3種の生態的食いわけと咀嚼器官の形態適応」 日本アフリカ学会大会, 長崎大学, 2007年5月.
小薮大輔, 清水大輔, 大石元治, 遠藤秀紀.
「コロブス亜科における頭蓋形態変異−生態適応か系統発生学的拘束か−」 日本霊長類学会大会, 滋賀県立大学, 2007年7月.
小薮大輔, 遠藤秀紀.
「コロブス類における頭骨形態変異と食性適応」 日本進化学会大会, 京都大学, 2007年8月.
小薮大輔, 遠藤秀紀.
「霊長類の頭骨における形態的多様性の意味を考える −コロブス亜科を例に−」 「かたちの学校」招待講演, 日本哺乳類学会大会, 東京農工大学, 2007年9月.